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相続時精算課税制度の基礎知識

1.一般の相続時精算課税制度


b相続時精算課税制度には、財産を特定しない一般の相続時精算課税制度と、使途を住宅取得等に限定した住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度とがあります。
b一般の相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与を対象とする制度で、2,500万円までの贈与には贈与税がかからず、それを超える部分の金額に対して一律20%の税率で贈与税がかかるというものです。
bこの制度の適用を受けた贈与財産は、贈与者の相続時に相続財産として加算して相続税額を計算し、贈与時に納めた贈与税額があるときは、これを相続税額から控除して精算します。

制度のあらまし


相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与について贈与の回数に制限なく2,500万円までは贈与税はかからず、それを超える部分の金額に対しては一律20%の税率で贈与税が課税され、その贈与した財産の価額は、贈与をした親の相続時に相続財産として持ち戻し(加算)して相続税額を計算し、その際に納めた贈与税額があるときは、これを精算(相続税額から控除)して課税するという制度です。
65歳以上の母親から20歳以上の子供に3,000万円を贈与した場合
 
〔贈与税〕

 贈与額   特別控除  税率
(3,000万円−2,500万円)×20%
=100万円y 
〔相続税〕
相続財産と相続時精算課税制度により贈与した財産を合計して相続税額を計算し、その税額からすでに納めた贈与税額yを差し引き、納めるべき相続税額を求めます。

適用対象者


この制度の対象となる人は、次のとおりで、満65歳以上の親から満20歳以上の子(推定相続人)に対して行う贈与に適用があります。ただし、子供が親より先に亡くなっている場合には、代襲相続人である子供(孫)が満20歳以上であれば、その孫にも適用があります。
贈与者 満65歳以上の親受贈者 満20歳以上の子(推定相続人)
注:満65歳又は満20歳という年齢は、贈与のあった年1月1日現在で判定します。
また、この制度は、養子縁組をした子にも適用があります(ただし、養子縁組後で、かつ、年齢基準を満たしている場合に限ります)。
したがって、養子の場合は、養父母からの贈与にも実の親からの贈与にもこの制度の適用を受けることができることになります。

なお、この規定は、父、母ごとに、また子供ごとに適用選択ができますので、例えば、次のように父親から長男には適用するが、母親からは適用しないとすることもできますし、また、兄弟のうち1人だけに適用するということもできます。


制度の対象となる財産
一般の相続時精算課税制度の対象となる財産は、贈与税の課税対象財産と同じです。したがって、本来の贈与財産だけでなく、みなし贈与財産も対象となります。

贈与税・相続税の計算方法
ク 贈与税の計算方法
この制度の適用を受けた場合の贈与税額は、次の算式で求めます。
その年中におけるその贈与者からの贈与財産の価額+前年までのその贈与者からの贈与財産の合計額-特別控除2,500万円 税率(一律)× 20% =贈与税額

(例)
H15年の贈与 2,000万円
H16年の贈与 600万円の場合
・H15年の贈与税額
H15年の贈与 特別控除
2,000万円−2,500万円≦0
∴贈与税額なし
・H16年の贈与税額
H16年の贈与 H15年の贈与 特別控除 税率 贈与税額
(600万円 + 2,000万円−2,500万円)×20%=20万円
また、父親と母親から制度適用の贈与を受けたような場合は、父親からの贈与と母親からの贈与について個別に贈与税額を計算し、それぞれ税額を合計したものがその年の贈与税額となります。
なお、その年分において、例えば、父親からは制度適用の贈与を受け、母親からは通常の贈与を受けたという場合は、次のように贈与税額を計算します。

(例)
父親からの制度適用の贈与  4,000万円
母親からの通常の贈与    4,200万円
・父親からの贈与に対する税額
         特別控除
(4,000万円−2,500万円)×20%=300万円
・母親からの贈与に対する税額
     通常の基礎控除 贈与税率
(200万円− 110万円)×  10% =9万円
・納める税額
300万円+9万円=309万円
ケ 相続税の計算方法
この制度にかかる贈与者が亡くなった場合は、受贈者については、この制度の適用を受けた贈与財産の価額(贈与を受けたときの価額)を相続税の課税価格に加算します。また、この制度によって贈与税を納めたときは、その納めた贈与税額相当額を、贈与者にかかる相続税額から控除します。

(例)
父親が死亡
・相続財産 2億円
・相続時精算課税制度適用財産 4,000万円スイ
・相続時精算課税制度適用時の贈与税額 300万円
・相続人 母親、長男(相続時精算課税制度適用)、次男
・分割割合 母親(1億2,000万円)、長男(2,000万円+スイ)=6,000万円)、次男(6,000万円)とすると
@ 相続時精算課税適用者の課税価格の計算
2,000万円+4,000万円=6,000万円
A 相続時精算課税不適用者の課税価格の計算
母親1億2,000万円+次男6,000万円=1億8,000万円
B 課税遺産総額を計算する
基礎控除額
(@+A)−{5,000万円+(1,000万円×3人)}=1億6,000万円
C 各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額を計算する
・母親 1億6,000万円×=8,000万円
・長男、次男 1億6,000万円×=4,000万円
D 相続税の総額の計算
・母親分 8,000万円×30%−700万円=1,700万円
・長男、次男分 (4,000万円×20%−200万円)×2=1,200万円
・合計 2,900万円
E 相続税の総額Dを取得した財産の分割割合で按分する
・母親分 2,900万円×=1,450万円
・長男、次男 2,900万円×=725万円
F 各人の納付すべき相続税額を計算する
・配偶者→配偶者に対する税額の軽減により納付税額ゼロ
贈与税額
・長男 725万円−300万円=425万円
・次男 725万円

通常の110万円贈与との選択方法


この制度には、贈与回数や贈与年数の規定はないので、何回でも、また、何年に分けてもいいのですが、一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与については一生この規定を適用し続けなければなりません。
途中で、基礎控除を110万円とする通常の贈与に戻すということはできませんので、選択に際しては十分注意してください。
平成15年度
平成16年度
平成17年度
2,000万円制度適用の贈与
500万円制度適用の贈与
110万円制度適用の贈与
(その贈与者からの贈与は、通常の贈与とすることはできません)

適用のための手続


この制度の適用を受けるには、次の手続をしなければなりません。
ク 選択届出書の提出
この制度の適用を受けようとする受贈者は、その選択をしようとする最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長に対して、選択届出書を提出しなければなりません。
ケ 贈与税の申告書の提出
また、この制度適用の贈与を受ける場合には、たとえその年の贈与税額がゼロであっても、贈与税の(期限内)申告書を提出しなければなりません。
選択届出書の届出もなく、また、申告書の提出もない場合は、通常の贈与があったものとして贈与税が課税されることになります。また、この場合には無申告加算税や延滞税も課税されますので注意してください。
なお、納めるべき贈与税額がある場合は、贈与税の申告期限までに贈与税額を国に納めなければなりません。

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三輪厚二税理士事務所 所長 三輪厚二(大阪・大阪市)

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