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相続税の基礎知識

2.相続税の課税の仕組み


b相続財産の範囲は、相続人等の住所や国籍などによって違います。

b相続税の対象となる財産には、民法上の本来の財産のほか、税法上のみなし相続財産、相続開始前3年以内の贈与財産、相続時精算課税の対象とした贈与財産も含まれます。

b相続税額を計算する場合には、相続又は遺贈により取得した財産の価額から、被相続人から承継した債務及び葬式費用の額を控除します。

相続税の納税義務者


相続税の納税義務者は、相続又は遺贈によって財産を取得した個人(個人以外の人格のない社団又は財団、公益法人等でも個人とみなされて納税義務者となることがありますが、ここでは説明を省略します)ですが、個人の住所がどこにあるかによって、次のように取り扱われることとされています。

ク 居住無制限納税義務者


相続又は遺贈により財産を取得した個人が、財産を取得した時において日本国内に住所を有しているときは、その取得した財産がどこにあるかを問わず、すべての相続財産について相続税が課税されます。

ケ 制限納税義務者


相続又は遺贈により財産を取得した個人が、財産を取得した時において日本国内に住所を有していないときは、日本国内にある財産についてだけ相続税が課税されます。ただし、コに該当する個人を除きます。

コ 非居住無制限納税義務者


相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人が、財産を取得した時において日本国内に住所を有していないとき(その個人又はその相続にかかる被相続人が、その相続開始前5年以内において日本国内に住所を有したことがある場合に限ります)は、その取得した財産がどこにあるかを問わず、すべての財産について相続税が課税されます。

 

サ 特定納税義務者


相続時精算課税の適用を受けた受贈者は、その適用を受けた財産について相続税が課税されます。ただし、ク〜コに該当する個人を除きます。

 

納税義務者の区分


@ 居住無制限納税義務者
A 制限納税義務者
(Bに該当する者を除きます)
B 非居住無制限納税義務者
C 特定納税義務者
(A〜Cに該当する者を除きます)

相続税の対象となる財産
取得したすべての財産
日本国内にある財産
取得したすべての財産
相続時精算課税の適用を受けた財産

相続税の対象となる財産・ならない財産


ク 相続税の対象となる財産


相続税の対象となる財産には、@本来の相続財産、A相続税法上のみなし相続財産、B相続開始前3年以内の贈与財産、C相続時精算課税の対象とした贈与財産があります。


イ.本来の相続財産
相続税の課税対象となるのは、金銭に見積もることができる経済価値のあるすべてのものが含まれますが、主なものには次のようなものがあります。

財産の種類 細目 利用区分、具体的な財産等

土地 田、畑 宅地 山林、その他の土地 自用地、貸付地、耕作権、永小作権等
自用地、貸宅地、貸家建付地、借地権等 普通山林、保安林、原野、雑種地等

家屋
家屋、構築物
自用家屋、貸家、駐車場、広告塔等

事業用財産
機械、器具などの減価償却資産 商品、製品などの棚卸資産 売掛金、その他の財産
機械、器具、自動車、船舶等 商品、製品、半製品、仕掛品等 売掛金、貸付金、電話加入権、受取手形等

有価証券 株式、出資 公債、社債 信託受益証券

現金預金 現金、普通預金、定期預金、当座預金、定期積金、郵便貯金等(名義預金も相続財産に含まれます)

家庭用財産 家財、什器備品等

その他の財産 自家用車、電話加入権、書画、骨董、貴金属、貸付金等

 

ロ.相続税法上のみなし相続財産


相続税法では、民法上の本来の財産に該当しないものであっても、実質的に本来の財産と同様の経済的効果があるものについては、課税公平の観点から、相続財産とみなして、相続税の対象にしています。このような財産をみなし相続財産といいますが、具体的には、次のようなものがあります。
@ 生命保険金等
A 退職手当金等
B 生命保険契約に関する権利
C 定期金に関する権利
D 保証期間付定期金に関する権利
E 契約に基づかない定期金に関する権利など

ハ.相続開始前3年以内の贈与財産


相続又は遺贈によって財産を取得した者が、その相続開始前3年以内に、その相続にかかる被相続人から贈与を受けたことがある場合には、その贈与によって取得した財産(非課税財産及び特定贈与財産を除きます)の価額を相続税の課税価格に加算することとされています。ただし、相続の年における贈与財産については、相続税の課税価格に加算しますが、贈与税は課税されません。

注:特定贈与財産とは、婚姻期間が20年以上である配偶者である被相続人から贈与を受けた居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭のうち、贈与税の配偶者控除(48ページ参照)の適用を受けた、又は受ける場合にその規定により控除される金額に相当する部分をいいます。

ニ.相続時精算課税の対象とした贈与財産


特定贈与者(相続時精算課税制度の適用を受けた贈与者)である被相続人から生前贈与により財産を取得した相続時精算課税適用者は、その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算することとされています。
ケ 相続税の対象とならない財産

一方、相続税では、財産の性格や社会政策上の問題、国民感情等を考慮して、次のような財産については、相続税を課税しないこととしています。

@ 墓所、仏壇、仏具等
A 宗教、慈善、学術その他公益事業を行っている者が、相続又は遺贈により取得した財産でその公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
B地方公共団体が実施する心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
C相続税の申告期限までに、国や地方公共団体、特定の公益法人等に寄付した財産で一定の要件に該当するもの
D弔慰金等として相当と認められる金額

F相続人の取得した生命保険金等のうち次の非課税限度額までの金額


非課税限度額=500万円×法定相続人の数(注)
注:養子のうち法定相続人の数に算入されない者(7ページ参照)がいるときは、その養子を含めないものとし、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。
G相続人の取得した退職手当金等のうち非課税限度額(注)までの金額

注:非課税限度額は、Eと同じです。

 

葬式費用と債務控除
相続税を計算する場合には、相続又は遺贈により取得した財産の価額から、被相続人から承継した債務及び葬式費用の額を控除することになっていますが、相続人が無制限納税義務者(居住、非居住)か制限納税義務者か、特定納税義務者かによって、控除できる債務が次のように異なります。

ク 無制限納税義務者の場合


無制限納税義務者が、相続又は包括遺贈(被相続人から相続人への遺贈を含みます。ケ、コにおいて同じ)により財産を取得した場合には、その者の取得した財産の価額から、次のもののうちその者が負担した部分の金額(未分割の場合は法定相続分)を控除します。ただし、相続を放棄した者及び相続権を失った者については、その者がたとえ遺贈により財産を取得している場合であっても、これらをその者が取得した財産の価額から控除することはできません(ただし、実際に負担した葬式費用に限り控除できます)。

イ.被相続人の債務で、相続開始の際、現に存するもの(公租公課を含みます)
具体的には、相続開始の時における被相続人の借入債務、契約等に基づく履行義務のほか、契約等の相手方が請求権を行使し、又は行使することが確実と認められ、弁済等の履行が確実であると認められるものなどが債務控除の対象となります。
また、控除することができる公租公課には、被相続人の所得税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、自動車税、消費税、住民税等の税金があります(納期が到来していないものであっても納税義務が生じているものは含まれます)。
なお、被相続人の債務で、相続開始の際、現に存するもので確実なものであっても、非課税財産(例えば仏壇とか墓地など)の取得、維持、管理のための債務は、債務控除の対象にはなりません。

ロ.被相続人にかかる葬式費用
葬式費用に該当するものには、次のようなものがあります。
@ 葬式や納骨などに要した費用(本葬式費用、仮葬式費用など)
A 葬式に際し、お寺などに支払った読経料やお布施などの費用
B 葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものとして認められるもの
C 死体の捜索、死体や遺骨の運搬費用

 

なお、次のような費用は、葬式に関連した費用ですが、葬式費用としては取り扱われませんので注意してください。
@ 香典返戻費用
A 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
B 法会に要する費用(初七日その他の法要費用)
C 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用(遺体解剖費用など)

 

ケ 制限納税義務者の場合


制限納税義務者が、相続又は包括遺贈により財産を取得した場合には、日本国内にある財産の価額から、被相続人の債務で、次のもののうちその者が負担した部分の金額を控除します。
イ.課税対象となる財産にかかる公租公課
ロ.課税対象となる財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
ハ.課税対象となる財産の取得、維持管理のために生じた債務
ニ.課税対象となる財産に関する贈与の義務
ホ.被相続人が死亡の際、わが国に営業所又は事業所を有していた場合におけるその営業所又は事業所にかかる営業上又は事業上の債務

コ 特別納税義務者の場合


特別納税義務者が、相続又は包括遺贈により財産を取得した場合は、クの無制限納税義務者の場合と同じ取扱いになります。

コ 特定納税義務者の場合


A相続又は遺贈により財産を取得した者


その者が無制限納税義務者か制限納税義務者かに応じ、上記ク又はケにより取り扱われます。ただし、特定納税義務者が相続人に該当せず、かつ、特定遺贈のみによって財産を取得している場合は、債務控除の適用はありません。

B相続又は遺贈により財産を取得しなかった者


その者の相続開始時の住所が国内にある場合は上記クにより、国内にない場合は上記ケにより取り扱われます。ただし、特定納税義務者が相続人又は包括受遺者に該当しない場合には、債務控除の適用はありません。

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三輪厚二税理士事務所 所長 三輪厚二(大阪・大阪市)

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